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慢性骨盤痛症候群(CPPS/MPPS)と骨盤底筋のリラクゼーション ――「緩める」ことの大切さについて

[2026.03.12]

はじめに

泌尿器科の診療では、慢性的な骨盤周囲の痛みや違和感に悩まされる方が少なくありません。
こうした症状は「慢性骨盤痛症候群(CPPS)」と総称され、その一部には筋肉の緊張が関与する「筋筋膜性骨盤痛症候群(MPPS)」と呼ばれる状態があります。
 
当ブログではこれまで、尿失禁対策として「骨盤底筋を鍛える運動(骨盤底筋トレーニング)」を紹介してきました。
 
ただし骨盤底筋は、単に強くするだけの筋肉ではありません
適切に「緩める」ことも、同じくらい大切な機能です。
 
今回は、骨盤底筋の緊張を和らげるためのセルフケアについて解説します。

骨盤底筋トレーニングは「筋肥大」だけが目的ではない

尿失禁対策として行う骨盤底筋トレーニングでは、「筋肉を鍛える」と説明されることが多いですが、実際には神経系のコントロールを取り戻す意味合いも大きい運動です。
 
つまり、
  • 必要なときに
  • 短時間で
  • しっかり収縮できる
という神経と筋肉の連携を回復することが重要です。
 
そのため骨盤底筋は
 
収縮(締める)
弛緩(緩める)
 
という両方のコントロールができることが理想的です。
 

骨盤底筋の「過緊張」と痛み

MPPSでは、骨盤底筋が無意識に収縮したままになり、「力が入りっぱなし」の状態になっていることがあります。
 
このような状態では
  • 筋肉の血流低下
  • 筋膜のトリガーポイント形成(痛みの引き金となるしこり)
  • 神経の過敏化
などが重なり、骨盤周囲の痛みや違和感が生じると考えられています。
またこの緊張は
  • 排尿時の違和感
  • 排便時の不快感
  • 性機能のトラブル
などと関連することもあります。
 

「クールダウン」としての骨盤底リラクゼーション

スポーツや筋力トレーニングでも、運動後のストレッチやクールダウンが重要であることはよく知られています。
 
骨盤底筋も同じで、
  • トレーニングで収縮させたあと
  • リラックスして柔軟性を保つ
という習慣が、筋肉のコンディション維持に役立つ可能性があります。
 
今回紹介するポーズは、MPPSのセルフケアとして用いられることがありますが、
骨盤底筋トレーニングを日常的に行っている方のコンディショニングにも有用なことがあります。

自宅で取り組める骨盤底リラックス・ポーズ

海外の骨盤底理学療法(Pelvic Floor Physical Therapy)では、筋肉の緊張を和らげるための「ダウントレーニング」が行われています。
 
ここでは自宅でも安全に行える代表的なポーズをご紹介します。

ハッピーベイビー(Happy Baby)

仰向けで両膝を抱え、足の裏を天井に向けます。股関節を優しく開くことで、骨盤周囲の筋肉がリラックスしやすい姿勢になります。

チャイルドポーズ(Child's Pose)

正座から上体を前に倒します。背中から骨盤にかけての筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。

ニー・トゥ・オポジットショルダー

仰向けで片膝を反対側の肩へゆっくり引き寄せます。骨盤の深い部分の筋肉をリラックスさせる姿勢です。

リラックス・フロッグ

膝を外側に開き、股関節をゆったりと広げます。重力を利用して骨盤周囲の筋肉を自然に緩める姿勢です。

姿勢との関係(反り腰との関連)

骨盤底の緊張には、日常の姿勢も影響することがあります。
例えば
  • 腰が強く反った姿勢(反り腰)
  • 骨盤が前傾した姿勢
では、骨盤底や股関節周囲の筋肉に持続的な緊張が生じることがあります。
 
今回紹介したポーズの多くは、自然と
骨盤をやや後傾させる動き
を含んでおり、骨盤周囲の筋肉をリラックスさせる助けになる場合があります。

呼吸のポイント

これらのポーズでは、ゆっくりした腹式呼吸を意識してください。
息を吸うときに
「骨盤の底がふんわり広がる」
ようなイメージを持つと、骨盤底筋が緩みやすくなります。

まとめ

骨盤底筋は
鍛えること 緩めること
の両方が重要な筋肉です。
特に骨盤周囲の違和感や慢性的な痛みがある場合には、
「筋力不足」だけでなく 筋肉の過緊張
という視点から体を見直すことも大切です。
 
今回紹介したポーズは、自宅で安全に行えるセルフケアです。 無理のない範囲で、日々の身体のメンテナンスとして取り入れてみてください。

ご留意事項

本記事の内容は一般的な健康増進およびリラクゼーションを目的としたものです。
 
強い痛み、発熱、血尿などの症状がある場合、または現在治療中や手術直後の方は必ず主治医にご相談ください。
 
運動中に痛みや不快感を感じた場合は、直ちに中止し、医療機関を受診してください。
 
 
 

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