夜中のトイレ、原因は「水分」より「塩分」かもしれません ―今日から試せる、もうひとつの夜間多尿対策―
「夜中に何度もトイレで目が覚める…」
その原因を伺うと、多くの方が「水分の摂りすぎかな」とお答えになります。
実際、夜間多尿(夜間に作られる尿の量そのものが増える状態)の対策として、水分の摂り方は当院でもこれまで繰り返しお伝えしてきました。
今回は、その水分と同じくらい見落とされがちな、もうひとつの要因についてお話しします。
それは「塩分」です。
① 夜間多尿と塩分の関係
塩分(ナトリウム)を多く摂ると、体は血液中の塩分濃度を一定に保とうとして、水分を血管内や組織に溜め込みやすくなります。
日中は活動していることや立っている時間が長いことから、この余分な水分は脚などに「むくみ」としてとどまりやすいとされています。
ところが夜になって横になると、脚に溜まっていた水分が心臓へ戻りやすくなり、体はこれを尿として排出しようとします。
これが、夜間に尿量が増える一因と考えられています。
日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会が編集する夜間頻尿診療ガイドラインでも、夜間多尿を伴う夜間頻尿への生活指導として、飲水指導(水分制限)とあわせて塩分制限が挙げられています。
水分制限ほど強い推奨ではありませんが、根拠のある対策のひとつとされています。
※効果や現れ方には個人差があります。
② 対策①:夕食の時間と水分の「タイミング」管理
まずは基本の確認です。
-
夕食はできるだけ就寝の2〜3時間前までに済ませる
-
夕食後から就寝までの水分は、喉が渇いた分だけコップ1杯程度を目安に
-
日中の水分摂取まで我慢する必要はありません。日中の脱水は結石など別のトラブルの原因にもなるため、日中はしっかり摂りましょう
もちろん、お仕事の都合で夕食が遅くなる方や、夜勤で生活リズムが不規則な方もいらっしゃると思います。
その場合は「これから休む時間」の2〜3時間前を目安に、ご自身の生活リズムに合わせて無理のない範囲で調整していただければと思います。
③ 対策②:一番効果的なのは夕食の「減塩」
水分のタイミング調整とあわせて、根本的な効果が期待できるのが夕食を含めた減塩です。
- 味噌や醤油を減塩タイプに変える
- 麺類の汁は残す
- 加工食品や外食の頻度を少し見直す
このあたりは、すでに実践されている方も多いかもしれません。
ただ、いきなり「薄味」に慣れるのは、正直なところ長続きしにくいものです。
そこでおすすめしたいのが「スパイスへの置き換え」という考え方です。
塩気を減らすと料理の満足感まで下がってしまいがちですが、一味唐辛子やブラックペッパーなど、香りや刺激のあるスパイスをひと振り加えるだけで、塩分を増やさずに満足感を補うことができます。
夕食の1品だけでも、塩や醤油の代わりにスパイスを試してみてください。
④ 実は、偉そうに言う私も…
ここまで偉そうにスパイスをおすすめしましたが、白状すると、私自身も「形から入るタイプ」です。
興味本位で新しい調味料を買って帰っては、結局使うのは自分だけ。
使い切れずミルの中で粉が固まってしまい、家族から冷ややかな目で見られることもあります。
同じ轍を踏まないよう、皆さんはまず、使い慣れた一味唐辛子やブラックペッパーあたりから、気軽に試していただければと思います。
⑤ まとめ
-
夜間の尿量が増える背景には、「水分」だけでなく「塩分」も関係している
-
夕食の時間・水分のタイミングを整えることが基本
-
減塩、特に「スパイスへの置き換え」は無理なく続けやすい工夫のひとつ
※効果には個人差があります。
当院でご相談いただけること
こうした生活の工夫を試しても夜間のトイレの回数が変わらない場合、前立腺肥大症や睡眠時無呼吸症候群、心臓・腎臓の病気など、他の原因が隠れていることもあります。
ご懸念の症状がある場合はぜひ、ご相談ください。
大阪府池田市の泌尿器科として、生活習慣からのアプローチも含め、皆様の夜間頻尿のお悩みに向き合っています。
