『腰痛で運動無理!』なあなたへ。 自重(=高重量)を味方につける“序の序”の減量術(肥満と排尿6)
この記事は【肥満と排尿】シリーズの続編です。
過去記事はタグ一覧からご参照ください。
肥満と排尿トラブル:「運動できない人」はどこから始めればいい?
肥満は、
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睡眠時無呼吸
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過活動膀胱
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夜間頻尿
といった、排尿や睡眠に関わる症状と深く関係しています。
一方で、外来でよく耳にするのが、次のような声です。
「痩せたほうがいいのは分かっているけど、何から手をつけていいか分からない」
「腰痛があって、運動はほぼ無理」
「動いたほうがいい」「体重を減らしたほうがいい」
それ自体は正しくても、現実的な一歩が見えないことで、止まってしまう方は少なくありません。
なぜ「頑張り屋さん」ほどダイエットに失敗するのか?
診察室でよく伺うのは、こんなパターンです。
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ごはんは控えめ
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海藻や納豆中心
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とにかく我慢する食事
一時的には体重が動くこともありますが、
仕事のストレスや疲れが重なると、
👉 反動でお菓子や甘いものを爆食
という流れになりがちです。
運動についても同様で、
「腹筋100回!」「ジョギングを始める!」
と意気込みますが、体重がある状態でこれを行うと、
膝や腰(椎間板ヘルニアなど)を痛めてしまい、
物理的に“動けなくなる”ことも珍しくありません。
「頑張りすぎること」そのものが、実は一番のブレーキになっている
——これは、肥満と運動の現場でよく見る現象です。
まずは「記録」して、現状を知る
そこで最初におすすめするのが、
完璧な食事改善ではなく「記録」です。
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何を食べたか
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どれくらいの量か
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体重がどう推移しているか
これを把握することで、
「今の生活で体重がトントンになるライン」が見えてきます。
ここが分かって初めて、
「何を、どれくらい変えればいいか」を考えられるようになります。
迷ったら「二択で、脂質が低いほう」
食事を変えるときのルールは、たった一つです。
二択で迷ったら、脂質が低いほう。
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揚げ物 or 蒸し料理 → 蒸し料理
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お菓子でもどっちにしようかな?
→ 栄養成分表示を見て、脂質が低いほう
「食べること自体はもう決まっている」
——だからこそ、何を選ぶかに意味があります。
完璧じゃなくていい。
選べた、という事実そのものが成功体験になります。
「同じカロリーでも、どれだけ食べるか?」
もう一つ大事な視点が、カロリー密度です。
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少量で高カロリーなもの
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たくさん食べないと同じカロリーにならないもの
後者を選ぶだけで、
「食べた感」「満腹感」は大きく変わります。
例えば、
板チョコ1枚は食べられても、
同じカロリー分の千切りキャベツは、なかなか食べきれないでしょう。
食事の際に、
カロリー密度の低いものから順番に食べる
——この「順番」だけ意識するのでも、結果は変わってきます。
腰痛があってもできる「序の序」の運動
「運動ができない」と仰る方の多くは、
体重による負荷を過小評価してしまいがちです。
体重100kgの人の腕立て伏せは、
体重50kgの人が50kgの重りを背負って行うのと同じ。
無理があって当然です。
腰椎に負担をかけにくく、
今のあなたができる「序の序」の運動としては、例えば次のようなものがあります。
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壁に手をついて軽く押す(ウォールプッシュアップ)
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仰向けで手足をゆっくり動かす体幹運動(デッドバグ)
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立っている時間を少し増やす
これで十分です。
脊柱に負担をかけにくい運動には、
リハビリ領域で確立されたものも多く、ちゃんと名前がついています。
腹筋は「曲げない」
腰痛がある方にとって、
腹筋運動 = 上体起こし
ではありません。
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体を丸めない
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腰を反らさない
お腹を「固める」感覚を身につけることが目的です。
「立っているだけ」で、もう負荷はかかっている
体重がある方は、
立っているだけで十分な運動負荷がかかっています。
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すぐ座らない
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家事を少し多めに引き受ける
これも立派な活動量アップです。
減量を家族に宣言して応援してもらうと、
良い循環が生まれることもあります。
最後に:自重トレが「高重量」な人へ
体重がある人にとって、
自分の体はすでに「高重量」です。
だからこそ、
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小さく
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ゆっくり
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痛みなく
でいい。
「できた」を積み重ねることが、いちばんの近道です。
※安全に取り組んでいただくために
今回の記事は、
肥満や腰痛、睡眠時無呼吸などの合併症が関与している可能性のある方を想定した内容を含んでいます。
すでに、
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医師から運動制限を指示されている方
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腰や関節に明らかな痛みやしびれがある方
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心臓・呼吸器・代謝の病気で治療中の方
は、自己判断で新しい運動や食事制限を始めず、必ず主治医や専門家にご相談ください。
また、すでに受けている指導や治療方針がある場合は、
そちらを最優先にしてください。
「何ができて、何を避けたほうがよいか」を整理するだけでも、
医療が役に立つ場面があります。
