「お薬がなくなりそうなので、処方箋だけ出してください」 ——それができない理由
1.よくいただくご相談
「次の診察の予約までまだ日にちがあるのに、お薬が先になくなりそう」
そんなとき、「診察はいいので、処方箋だけ出してもらえませんか」というご相談をいただくことがあります。
お忙しい中で通院の時間を作るのは大変ですし、症状が落ち着いている方であればなおさら「わざわざ診察を受けなくても」と感じるのは、とても自然なことだと思います。
ただ、結論から申し上げると、当院ではこのご希望にお応えすることができません。
今回は、その理由と、実際にお薬が足りなくなりそうなときにどうしていただくのがよいかを、まとめてお伝えします。
2.処方には「診察」が前提になっています
医師が処方箋を発行するには、医師法という法律のルールとして、必ずその前に診察を行うことが定められています。
これは「診察なしに治療や処方を行ってはいけない」という趣旨で、患者さんの安全を守るための仕組みです。
体調や症状は、前回の受診からの間にも変化していることがあります。同じお薬を継続する場合であっても、
・前回と体調に変わりはないか
・副作用や気になる症状が出ていないか
・他に新しく始めた薬やサプリメントはないか
といったことを確認したうえで、あらためて「今回も同じ処方で問題ない」と判断することそのものが、実は診察の重要な役割です。
診察を省いて処方箋だけを発行することは、この確認のプロセスを飛ばしてしまうことになり、原則としてできません。
3.「薬局とのやり取りで調整できる場合」もあります
一方で、「診察なしでは一切身動きが取れない」というわけではありません。
すでにお持ちの有効期限内の処方箋であれば、薬の数量や日数の調整について、調剤薬局から当院へ確認のお電話(疑義照会といいます)をいただき、その場で対応できることがあります。
たとえば「あと1日分だけ足りない」といった軽微な調整であれば、この方法で解決できる場合があります。
まずはお薬手帳と一緒に、いつも利用されている薬局にご相談いただくのも一つの方法です。
ただし、これはあくまで既存の有効な処方箋の範囲内での調整です。
処方箋の期限が切れている場合や、新たに処方箋を発行する必要がある場合には、この方法は使えず、あらためて診察が必要になります。
4.オンライン診療については
「対面が難しいなら、オンライン診療は使えないのですか」というご質問もいただきます。
泌尿器科の診療では、尿検査や実際の診察で得られる情報が治療方針の判断に重要な役割を持つことが少なくありません。
そのため当院では対面診察を基本としており、オンライン診療は、診察の中で医師が個別に「対応可能」と判断した場合に限り、当院からご案内する形にとどめています。
患者さんのご希望に応じて随時お選びいただけるものではなく、実施件数も限定的です。
5.コロナ禍の「電話だけで処方」は、あくまで時限的な特例でした
新型コロナウイルスの流行時には、感染対策の観点から、電話での再診のみで処方箋を発行できる時限的な特例(いわゆる「0410対応」)が設けられ、多くの医療機関で運用されていた時期がありました。
ただ、この時期であっても、実際には処方箋の原本を医療機関が保管し、処方箋情報を薬局へ送付したうえで、最終的にはご本人が薬局に出向いて原本と引き換えにお薬を受け取る、という手順が必要でした。つまり「電話だけで完結して、何もせずお薬が届く」という仕組みではなかったのです。
この特例は令和5年7月31日をもって終了しており、現在は原則どおり、対面またはオンライン診療の指針に沿った診察が前提となっています。
6.困らないために、できること
お薬が足りなくなりそうなとき、直前になって焦らずに済むよう、以下のような備えをお勧めしています。
・残薬が気になり始めたら、早めに次回受診の予約を確認・調整する
・予約サイトから空き状況を確認し、都合のよい日を前倒しで予約する
・お手元の残数管理が難しいと感じる場合は、かかりつけの薬局に相談いただく(残数の数え方や飲み忘れの管理などを一緒に確認してもらえます)
「予約を早めに取り直したいけれど電話がしにくい」という場合は、予約サイトやLINEもご利用いただけます(詳しくは以前の記事「当院とのつながり方ガイド」もご参照ください)。
まとめ
・処方箋の発行には、原則として診察が必要です(医師法20条)
・有効期限内の処方箋の軽微な調整は、薬局からの疑義照会で対応できる場合があります
・当院のオンライン診療は、泌尿器科の特性上、用途を限定して運用しています
・コロナ禍の電話のみでの処方は時限的な特例であり、現在は終了しています
「お薬が切れそう」というのは、決して珍しいご相談ではありません。早めにご連絡いただければ、こちらとしてもできる限りご都合に合わせた対応を考えます。まずはお気軽にご相談ください。
